Mickeyの音楽紹介
中年を過ぎてドイツに駐在したMickeyは、初めてオペラの魅力にとりつかれました。ドイツは今では最もオペラの上演の多い国ですから
オペラに接する機会も多かったのです。出張にかこつけてウイーンの国立オペラ場ではモーツアルトの「魔笛」や
リヒャルト・シュトラウスの「薔薇の騎士」なども観ました。特に駐在の後半はハンガリーに行く事が多く300円〜500円で入れる
市民オペラ劇場やフランツ・リスト音楽院付属劇場で数多くの公演を見てきました。そこで定年退職で落着いた今、手持ちのCDの中
からあまり聞く機会が少ないものを取り上げて、ご紹介していきたいと思います。
あまり聞く機会が少ない第1位「ヴァーグナー」です日本やアメリカでは「ワーグナー」と発音しますが、この稿では中部欧州の
習慣に倣って「W」は「ヴァ行」「D」は「タ行」「S」はザ行の表記に致します。例えばヨハン・ゼバスティアン・バッハの如く
最初は「ニーベルンゲンの指輪」からご紹介しましょう。当然序夜の「ラインの黄金」を最初に持って来るべきですが、自分の趣味で
大好きな「ヴァルキューレ、英語風に書けばワルキューレです」を最初にご紹介します。
(1)ヴァルキューレ
「ニーベルンゲンの指輪」3日と一晩の序夜のための舞台祝典劇、上演に4夜を必要とします、といわれる3部作二日目の夜(ということは第1夜)の舞台で上演されるのが「ヴァルキューレ」です。ちなみに序夜は「ラインの黄金」ですね。今回通して聞いたのはジェームズ・レビンが指揮するメトロポリタンオペラオーケストラのドイツ・グラモフォン版です。
CD4枚組み、3幕11場3時間30分を超える大曲です。物語は神々が欲望と自身の救済のために人間と交わって、堕落しそして神々しさを失い神々が没落していく様を描く素晴しい迫力のオペラです。確か昔は楽劇といっていましたね、最近は聞かなくなりました。迫力があるという事は、まず第1幕の前奏曲を聴けば納得できます。嵐を表すという弦楽合奏の低音のスタカットで始まり、木管や金管パーカッションが加わってはげしさを増して静まるところで第1幕の幕があがります。ジークムント(ガリー・レークス)、族長フンティンク(クルト・モール)の妻、実はジークムントの妹のジークリンテ役がジェシー・ノーマンです。声量も豊かに素晴しい展開を見せてくれます。お話は子供の頃の戦争でヴォルフィンク族のジークムントが母と双子の妹ジークリンテと生き別れになり嵐の夜に敵の族長の館、大きな木を大黒柱にしているのですが、どこかのアニメで見た様なお話ですが、誰にも抜けない剣が突き刺してあります。この剣は略奪されて無理にフンティンクと結婚させらたジークリンテの婚姻の席に現れた片目の老人が刺していったものです。ジークムントはこの剣を引き抜いて族長フンティンクの妻(妹)のジークリンテを奪って逃げるところで第1幕の終わりにになります。
第2幕は最初に大神のヴォータンが娘のブリュンヒルテにジークムントに勝利を与える様に言い聞かせると、有名なブリュンヒルテの雄叫び「ホヨート!ホヨート!ハイヤーハ!ハイヤーハ!ホヨート!ハイヤーハ!」とブリュンヒルテ役のヒルテガルト・ベーレンス(もしインターネットで検索する方がいらっしゃれば英語風にヒルデガード・ベーレンスと入力してください)の素晴らしいソプラノが冴えています。第2幕は大神のヴォータンが人間の女に産ませたジークムントへの扱い、結局は最後に自分で殺してしまうのですが、を正妻のフリッカに責められる嫉妬、やジークムントとジークリンテの近親相姦のような人間的な愛憎が交錯する内容です。
第3幕はかの有名な「ギユーン、ギユーン、ギユーン、ギユーン、、パンパカパーンパ、パンパカパーンパ、パンパカパーンパ、パンパカパーンパー」=何のこっちゃ??のメロディーですっかりポピュラーになってしまった「ヴァルキューレの騎行」で始まります。この曲がメディアで評判になったのは映画「戦場の黙示録」で戦闘ヘリの編隊が進むときに劇中音楽で使われて以来です。おっとと脱線ですね、第3幕は大神ヴォータンが娘のブリュンヒルテへの愛(ですね)から周囲を炎で囲み、さいごは結局ジークムントとジークリンテの子供が「ジークフリート」だという事実を明らかにして第2夜の「ジークフリート」へ話を繫ぐところで終わります。
次回は「ジークフリート」をご紹介しましょう。